がんの早期発見に効果を発揮する特殊光内視鏡「NBI」

mm単位の小さいがんは、従来の内視鏡では映らないので見えないがんでした。ところが内視鏡技術を進化させた、特殊光内視鏡「NBI」(Narrow Band Imaging)が見えないがんの早期発見を可能にしました。

何故見えないものが見えるようになったのでしょうか。

がんは栄養分を引き込むために血管を新生します。しかしながらがんの芽である微細ながん細胞が引き込む新生血管は0.1mm以下と細いため、それを今までの内視鏡では発見できなかったのです。

一方、NBIは血管を流れる赤血球の成分であるヘモグロビン(小学校の理科で習いましたよね?)に吸収されやすい2つの波長の光で照らして観察するため、粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様が強調して表示されます。先述しましたが、がんは成長するときには新生血管を多く引き込みます。そのような状態になれば、NBIでは粘膜表層が込み入って見えるようになりますので、がんが早期発見できるのです。

特に咽頭・喉頭がん、食道がんのハイリスクグループには、このNBIが早期発見のための強力な武器になるでしょう。

食道がんの特徴と症状

食道は口と胃をつなぐ管状の臓器で消化機能を持たない食物の通り道です。

そして食道には漿膜という臓器を包む膜が無いと言う特徴があります。このため食道がんは、転移しやすいという性質があります。

食道がんは食道の真ん中か、下1/3に最も多く発生します。食道の上皮は扁平上皮で出来ているので、食道がんの90%以上が扁平上皮がんです。

喫煙、飲酒、熱い飲食物などが食道がんの発生と関係するといわれています。特にお酒とタバコの両方をたしなむ人に多く見られます。食道がんにかかると咽頭や口、喉頭などにもがんが出来やすく、一方で、咽頭や口、喉頭などにがんが出来ると、食道がんもできやすい傾向があるようです。

食道がんの症状は以下のとおりです

1.無症状・・・健康診断や人間ドック時に、無症状の食道がんの20%近くが見つかります。

2.食道がしみる感じ・・・食物を飲み込んだ時に胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込んだ時にしみるように感じるなどの症状が、がんの初期の頃に認められ、早期発見には重要な症状となっています。

3.食物がつかえる感じ・・・がんが大きくなると、固形の食物がつかえて異常に気が付くことになり、がんがさらに大きくなると、水も通らない状態になります。

一般的な治療方法としては、手術、内視鏡的粘膜切除術、抗がん剤治療、放射線治療となり、これらを組み合わせた集学的治療も行われます。

また放射線医学総合研究所では食道がんに対する重粒子線による臨床試験も行っていますが、臨床病期Ⅱ、Ⅲ期食道がんに対する化学療法併用術前炭素イオン線治療の第I/II相臨床試験となっています。扁平上皮がんが対象となっています。術前となっていますように手術との併用治療ですので、病巣が手術により切除できることが必要条件になります。肝臓や肺、遠隔リンパ節などに転移がある患者さんは適応外となっています。

ダヴィンチによる腎部分切除術が保険適用に

ダヴィンチサージカルシステムを用いたロボット支援による腹腔鏡下腎部分切除術が今年(2016年)4月より保険適用となりました。ロボット支援手術に対する保険適用は2012年の前立腺全摘除術に次ぎ2例目となります。

ダヴィンチサージカルシステムなどを用いたロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術は今までは「先進医療B]として実施されていましたが、根治性(がんの断端陽性率)と腎機能温存(阻血時間25分以内)の達成率に関して、従来の腹腔鏡下手術と比較して優位に良好な結果を得ることができたために保険適用として承認されました。

また、本手術は腫瘍抑制の点でも開腹手術や従来の腹腔鏡下手術と比べて遜色がないとされます。更に従来の腹腔鏡下手術に比べてもより低侵襲ですし、操作性も非常に高いので手術が大変にやり易くなり、結果として手術の精度が高くなるので合併症のリスクも低減されます。それ故に患者さんの予後の改善やQOL(生活の質)の向上も期待できると見られています。

禁煙によるがん予防

喫煙習慣が「がん」の罹患率を上昇させる事は間違いないと言われています。では、禁煙することの効果はどれくらいあるのか少し考えてみましょう。

数年前に牛のBSE(いわゆる狂牛病騒ぎですね!)が大きく騒がれたときに、多くの方が牛肉を食べないという行動を取り、焼肉屋で閑古鳥が鳴いていた時期がありました。しかし、英国での「新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」患者の発生率を対策前の日本に当てはめると、当該病気の発症率は1億人当たり0.04人だそうです。さらに危険部位除去で0.0004人に減り、全頭検査で0.0003人にまで下がったそうです。つまり牛肉を食べないことによるリスク軽減はその「1億人に対して0.04人または0.0003人」を0にすることができたということなのですね。

一方、たばこはどうでしょうか?

40歳の男性喫煙者100人のうち、75歳までに何らかのがんになる人は32人と推計されています。一方で非喫煙者では20人と推計されています。つまり、禁煙によって、喫煙者のがんリスクを100人に対して12人、喫煙者1億人に対して1200万人も軽減できる事になるのですね。牛肉を食べないことによるリスク軽減と比較してなんと大きな効果でしょうか?

禁煙は費用も掛からず(それどころかお金が節約できます)、かつ非常に効果の高いがん予防法と言えるのです。

がん患者と医療者との良好なコミュニケーションの必要性

もし皆さんや皆さんのご家族ががんと診断され治療が行われるとしたら、治療中に幾度も医師の説明を聞く機会があると思います。もしそのような機会があったらどうすれば良いか考えておきましょう。

まず、現在不安に感じていること、疑問に思っていることを書き出しましょう。そして、その中でも重要と思われることを2~3点ピックアップし、それに関しメモを作っておきましょう。聞きたいことは沢山あるかもしれませんが、一度に多くを聞いても全てを消化できるとは限りませんから。

また、一番困っていることや、一番してほしいことを素直に伝えることも大切です。痛みや悩みがあれば遠慮せずに伝えましょう。

また、医師の説明を聞いていて、解らない言葉が出てきたりすることがあると思います。もし私が同席している場合であれば、患者さんやご家族が理解出来てなさそうだなと感じた時には、敢えて質問する場面もあるのですが、皆さんも遠慮せずに勇気を出して教えてもらいましょう。素直に質問すれば、通常は教えていただけます。

ただ、どのような場合にも言葉使いは丁寧に、自分の主張ばかりをするだけでなく、ちゃんと医師の話も理解するようにしましょう。

そして、出来るだけ家族や親しい人に同席を頼み、メモを取るなりしてもらいましょう。内容を後で確認できるので安心できます。ただし、どのような場合にも医師とは敵対関係にあるのではなく、一緒に病気に立ち向かっているんだと言う気持ちをご家族も含めて忘れないで下さいね。

医師とはきちんとした付き合い方をすることにより、お互いの信頼関係を築く事が大切です。医師と患者の良好な関係があってこその治療成果ではないでしょうか。(とは言え、首を傾げざるを得ないお医者様もまれにいらっしゃるのも現実ではありますが・・・)

がんは何故できるのでしょうか?

がんは何故発生するのでしょうか?

それは以前にも書きましたが、DNAの損傷の積み重ねが原因です。

ではDNAの損傷はなぜ起こるのでしょうか?それは色々な要因で生じます。例えば放射線や化学物質、ウィルス、細胞分裂時のコピーミスなどです。

しかしながらDNAの損傷が蓄積されても必ずしもがんになるわけではありません。もしDNAが損傷を受けて細胞としての機能を果たせなくなった場合、ほとんどの場合その細胞はアポトーシス(細胞の自死)するか、老化して増殖を停止したり、免疫によって排除されます。つまり、異常な細胞がはびこらないようにするブレーキの機能が人間の身体には備わっているのです。

ところがその機能が働かない性質を持ってしまった細胞が、がんとなるのです。

がん細胞はブレーキの機能が働かないので無限に増殖をし、さらにその増殖スピードは速く、免疫機能をくぐり抜けます。更にやっかいな事は、がん細胞は分化度が低いので、転移をすることができます。転移先でもがん細胞の元の性質は受け継がれるので、無限に増殖をするのです。転移前に手術で取りきることが出来ればがんは治るのですが、目に見えないような微小な転移はその時点ではわかりません。その転移したがんが検査で解るような大きさになった時に「再発」となります。(「だから早期発見は意味がない」と言った論調には私は同意をしません)今は手術前の微小な転移の有無はわからないのですから、早期発見・早期治療に越したことは無いと思います。

または遺伝子治療のようにがんの根本を変えていくような治療を実施することが必要なのではないでしょうか。

白血病の特徴と症状

白血球、赤血球、血小板などの血球成分は骨の中にある骨髄で作られます。白血病は、血球の元になる「造血幹細胞」が白血球に成長していく過程でがん化し、異常な白血球が無制限に増殖する病気です。白血病は「骨髄性」と「リンパ性」、そして「急性」と「慢性」の組み合わせにより主に4種類に分けられます。急性は進行が早いので注意が必要です。 それぞれの特徴は次のとおり

急性リンパ性白血病

リンパ球がリンパ節に流れていくまでの段階で、がん化したもの。小児白血病の代表とも言える疾患で、小児期の発祥のピークは2~6歳くらい。

急性骨髄性白血病

骨髄で未熟な造血幹細胞ががん化し、悪性化した白血病細胞が急速に増加するため、正常な血球が出来なくなるのが特徴。大人に多く見られる白血病で、日本の白血病の4割を占めます。最近では治癒の可能性が高いといわれていますが、通常の抗がん剤治療だけで根治する人は全体の半分以下というのが現状です。

慢性リンパ性白血病

慢性白血病は、病気の進行も、症状の現れ方もゆっくりしており、初期は無症状のことが多い。 成熟したリンパ球が著しく増加した状態が、慢性リンパ性白血病。成人で中年以降に多く発生します。日本では慢性リンパ性白血病は少なく、欧米の1/10程度で、年間で10万人のうち1~3人の発症率です。

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病とは造血幹細胞の腫瘍化によって生じます。骨髄中で白血球が過度に多くつくられるようになります。2001年に新薬が登場するまでは骨髄移植を受けられなければ、ほぼ100%が7年以内に死亡してました。 そのような状況を一変させたのがグリベックと言う分子標的薬です。初期からきちんと治療すれば、罹患=死 という状況では全く無くなりました。

白血病の症状は次のとおり

1.赤血球が作られなくなると、顔色が悪くなり、疲れやすく、息切れ、動悸がおきやすい。

2.細菌やウィルスなどの感染に対して抵抗力が無くなる。

3.鼻血や皮下出血

4.脾臓の晴れによる圧迫感     などです。

多発性骨髄腫の抗体薬(分子標的薬) ダルザレクス(一般名ダラツムマブ)

米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも3回の治療歴がある多発性骨髄腫患者の治療薬としてdaratumumab[ダラツムマブ](商品名Darzalex ダルザレクス)を迅速承認しました。

ダルザレクスは注射剤で、多発性骨髄腫治療を目的に承認された最初のモノクローナル抗体となりました。

ダルザレクスは、免疫システムに存在する特定の細胞のがん細胞攻撃を補助することで作用します。

ダルザレクスの安全性と有効性は2つの非盲検試験で検証されました。106人の参加者にダルザレクスを投与した1つ目の試験では、患者の29%で完全寛解あるいは部分寛解を実現し、この効果は平均7.4カ月持続した。二つ目の試験は42人の参加者にダルザレクスを投与し、患者の36%で完全寛解あるいは部分寛解を実現した。

ダルザレクスで最もよくみられた副作用は、インフュージョンリアクション(薬剤投与中または投与開始後24時間以内に現れる過敏症などの症状の総称)、疲労、嘔気、腰背部痛、発熱、咳です。ダルザレクスは、また、感染と戦う白血球数の低下(リンパ球減少症、好中球減少症、および白血球減少症)または、赤血球数の低下(貧血症)および血小板レベルの低下(血小板減少症)を引き起こす可能性もあります。

ダルザレクスは、日本でも増加傾向が見られる多発性骨髄腫の治療薬ですが、この承認はFDAの迅速承認プログラムに基づく承認であり、残念ながら日本ではまだ承認されておりません。

多発性骨髄腫の特徴と症状

多発性骨髄腫は、男性に多く発生する高齢者の病気で、発症の平均年齢は70歳代で、主に50歳代以降に多く発症します。日本での発症頻度は人口10万人に対して3~4人程度ですが、高齢化社会の到来と共に患者数の増加傾向がはっきりしてきています。

多発性骨髄腫は骨髄中のリンパ球が分化した細胞「形質細胞」が腫瘍化した病気です。形質細胞とは抗体(細菌などの抗原に結合し中和などをする)を作る細胞で、細菌や異物を攻撃する役割を担ってますが、多発性骨髄腫になると正常な抗体ではなく、異常な抗体が産出されます。

この異常な抗体には身体を守る機能はほとんどありません。多発性骨髄腫は、骨病変(こつびょうへん)を伴いやすいため、腰痛や骨折などの骨の症状で発見されることがしばしばあります。

また、治療面においては新薬でも十分な治療効果を得られない患者さんや再発を繰り返す患者さんが多いことも特徴ですが、しかしながら新薬の登場によって完全寛解にいたる患者さんも増えています。

症状は次のようなものがあります。

1.貧血

2.骨痛、骨折、高カルシュウム血症

3.腎不全   など

脳腫瘍

脳腫瘍とは、頭の中に異常細胞が増殖する病気です。脳組織自体から発生する原発性脳腫瘍と、他の臓器のがんが脳へ転移した転移性脳腫瘍の2種類があります。原発性脳腫瘍には、良性と悪性があり、たとえ良性の腫瘍であっても、頭蓋骨の内側という限られたスペース内に発生する脳腫瘍は、大きくなると正常な脳を圧迫して傷害を起こすため、治療の対象となります。 一方、転移性脳腫瘍は悪性となります。

脳腫瘍の発生率は、人口10万人に対して約12人と言われており、全体として悪性のものも多く、良性か悪性かによって完治の可能性が異なります。

脳腫瘍の種類

1.神経膠腫  28%  悪性(一部良性) グリア細胞から出来る

2.髄膜腫   26%  良性(一部悪性) 脳を包む膜に出来る

3.下垂体腺腫 17%  良性       脳下垂体に出来る

4.神経鞘腫  11%  良性       脳から出る神経に出来る

5.先天性腫瘍 5%  比較的良性

6.その他   13%

脳腫瘍の検査は、CT,MRIが中心です。PET検査では見つかりにくいがんの一つです。