堀ちえみさんの食道がん報道について思う事

堀ちえみさんが食道がんを公表しました。舌がんの手術を終えて間もないのに、大変に気の毒で残念に感じましたし、ご本人はショックだったのではないかと思います。

今回のがんは転移ではなく新たながんだという事ですが、これはがんと言う病気の性格を改めて思い知らされる事だと思います。以前にがんは何故再発するのかを書きましたが、その中でも特に2番目の理由は再発という事に限定せず、新しいがんが発生する要因ともなるものです。

がんは何故再発するのか

つまりがんを患ったら、まず第一にがんを治療する事が大事です。そして次に(同時に)体内環境を良くしていくことが再発や2次ガンを防ぐためにも重要な事となります。

ではどのようにすれば体内環境を良くできるのでしょうか?

生活環境や食生活の見直し、体内の免疫系の強化が考えられます。

標準治療では再発防止の為に抗がん剤を使用する事がありますが、抗がん剤を使用すると多くの場合免疫力が低下します。きちんと免疫系を回復させることが重要だと思います。

先日ご紹介したiNKTがん治療は体内のがんに対する免疫系全体を活性化することが出来ます。まだ目に見えないがんに対しても効果を発揮できます。だからこそ再発予防や今まだ目に見えないがんの発症の予防に繋がるのではないかと思います。

そして、運動や睡眠などの生活習慣を整え、禁煙・節酒、バランスを考えた食生活を心掛けましょう。そのようにすれば再発などのリスクは随分と軽減されるはずです。がんを患われた方には是非知っておいて頂きたいと思います。

遺伝性の乳がんについて

乳がんはBRCAと言われる遺伝子の変異も発症に関係していると見られています。

昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾先生の発表によれば、乳がん患者のうち7~10%は、遺伝子変異が原因の遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)とされ、その多くはBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に変異があることが報告されています。BRCA1遺伝子変異を持つ患者では、生涯乳がん発症リスクが6~8割と非常に高いほか、乳がん再発リスクや卵巣がん発症リスクが高いことも知られています。

アメリカやイギリスではBRCA1遺伝子の異常が分かった場合、発症前に、がんになりやすい臓器(乳房、卵巣)を切除するという予防法も行なわれています。少し前の話になりますが、有名なハリウッド女優さんが乳房と卵巣の摘出手術を行い話題になりましたよね。

しかしながら、日本では予防的な臓器切除は一般的ではありません。

それに、例え遺伝子異常を持っていても全員ががんを発症するわけではありませんし、生活習慣の改善によりリスクを減らせる可能性もあります。例えば脂肪の摂取を減らせばがんになる確率は下がると言われています。

ですから、予防のために臓器の切除を行うと言う選択肢よりは、定期的ながん検診を受け、がんが発見されたら早期に治療するという選択肢の方が一般的な選択肢になるのではないでしょうか。

上記の女優さんも次のように言ってます。「選択肢は一つではありません。大切なことは選択肢について知り、その中から自分の個性にあったものを選択することです。」と。

この言葉は、乳がん予防に関してだけではなく、がん治療全般にも まさに当てはまる言葉だと思います。

米国マクドナルドが防腐剤などを不使用へ

アメリカでは個人の医療費負担が増加しており、その医療費を抑制するためにも健康的な食生活を送ろうとする人が増えていると言われています。その為に、ファーストフードの本場ともいえる米国で、自然飼育の肉やオーガニック原料を使ったチェーン店などが売り上げを伸ばしているそうです。

そのような流れを受け、米国マクドナルドはハンバーガーのバンズに使われているコーンシロップを砂糖に切り替え、チキンナゲットや朝食メニューのスクランブルエッグに使用していた人工保存料の添加を取りやめると発表しました。またナゲットの揚げ油に使っている人工的な防腐剤の添加も中止し、ポークソーセージからも人工防腐剤を除去する等としています。

一方、日本マクドナルドは9月1日時点ではどうするかの報道はされていません。保存料の使用状況や、何を使用しているかなどの詳細情報も非公開のようです。

一方で、ここ日本ではがんの罹患数が年間100万人を超えるようになってきました。がんになる原因は数多くありますが、化学物質がそのうちの一つであることは間違いないようです。ですから、その化学物質が少しでも抑えられるのであれば喜ばしい事ではないでしょうか。もちろん化学物質を抑えただけでがんがなくなるわけではありませんが、がんの原因の一つである以上は、やはり日本マクドナルドでも米国同様の対応がされることを期待したいところです。

(参照ニュース http://www.j-cast.com/healthcare/2016/08/30276400.html?p=all)

がんは何故できるのか?

日本で乳がんが増加している理由

もともと乳がんは先進国である欧米の女性に多い病気です。アメリカでは生涯のうちに乳がんにかかる方は8人に1人と言われており、日本の12人に1人と比べるとはるかに高率です。しかしながら欧米では減少傾向を示し始めているにもかかわらず、日本では1980年代以降、乳がんの罹患率は上昇し続けています。それは何故でしょうか。

日本の乳がん罹患者が増えている理由は大きく分けて二つあると言われています。

一つ目は結婚・出産年齢が高くなり、1人の女性が生涯に産む子供の数が減っていることです。というのも乳がんはエストロゲンと言う女性ホルモンの影響を受けて増殖するものが多いと考えられています。エストロゲンは排卵の準備をするときに分泌が高まります。逆に言えば妊娠や授乳中は分泌が高まりません。つまり、少子化の現代はより多くの女性が、長い期間、高いレベルのエストロゲンにさらされていることになるのです。

二つ目は食生活の変化です。すなわち日本の伝統的な和食の食事が減り、洋食やファーストフードをとる機会が増えたと言うことです。もっと解り易く言うと動物性脂肪の摂取が増えたと言う事です。もともと女性ホルモンの合成と生成には脂肪組織が関わっていますので、脂肪摂取の増加によりエストロゲンの産出量が多くなるのではないかという事です。そして閉経後の肥満は乳がんリスクを高めることも解っていますので、動物性脂肪の取りすぎによる肥満がリスクを押し上げることになります。

話は変わりますが、欧米のセレブの間では食事のときにミソスープを飲むのが密かなブームになっているらしいです。健康に良いとの考えからだそうです。増え続けているとはいえ、まだまだ欧米よりは低い日本の乳がん罹患率。和食の本家である我々も、和食の良さを見直すことによって乳がんの増加に歯止めを掛けたいですね。

禁煙によるがん予防

喫煙習慣が「がん」の罹患率を上昇させる事は間違いないと言われています。では、禁煙することの効果はどれくらいあるのか少し考えてみましょう。

数年前に牛のBSE(いわゆる狂牛病騒ぎですね!)が大きく騒がれたときに、多くの方が牛肉を食べないという行動を取り、焼肉屋で閑古鳥が鳴いていた時期がありました。しかし、英国での「新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」患者の発生率を対策前の日本に当てはめると、当該病気の発症率は1億人当たり0.04人だそうです。さらに危険部位除去で0.0004人に減り、全頭検査で0.0003人にまで下がったそうです。つまり牛肉を食べないことによるリスク軽減はその「1億人に対して0.04人または0.0003人」を0にすることができたということなのですね。

一方、たばこはどうでしょうか?

40歳の男性喫煙者100人のうち、75歳までに何らかのがんになる人は32人と推計されています。一方で非喫煙者では20人と推計されています。つまり、禁煙によって、喫煙者のがんリスクを100人に対して12人、喫煙者1億人に対して1200万人も軽減できる事になるのですね。牛肉を食べないことによるリスク軽減と比較してなんと大きな効果でしょうか?

禁煙は費用も掛からず(それどころかお金が節約できます)、かつ非常に効果の高いがん予防法と言えるのです。

がんは何故できるのでしょうか?

がんは何故発生するのでしょうか?

それは以前にも書きましたが、DNAの損傷の積み重ねが原因です。

ではDNAの損傷はなぜ起こるのでしょうか?それは色々な要因で生じます。例えば放射線や化学物質、ウィルス、細胞分裂時のコピーミスなどです。

しかしながらDNAの損傷が蓄積されても必ずしもがんになるわけではありません。もしDNAが損傷を受けて細胞としての機能を果たせなくなった場合、ほとんどの場合その細胞はアポトーシス(細胞の自死)するか、老化して増殖を停止したり、免疫によって排除されます。つまり、異常な細胞がはびこらないようにするブレーキの機能が人間の身体には備わっているのです。

ところがその機能が働かない性質を持ってしまった細胞が、がんとなるのです。

がん細胞はブレーキの機能が働かないので無限に増殖をし、さらにその増殖スピードは速く、免疫機能をくぐり抜けます。更にやっかいな事は、がん細胞は分化度が低いので、転移をすることができます。転移先でもがん細胞の元の性質は受け継がれるので、無限に増殖をするのです。転移前に手術で取りきることが出来ればがんは治るのですが、目に見えないような微小な転移はその時点ではわかりません。その転移したがんが検査で解るような大きさになった時に「再発」となります。(「だから早期発見は意味がない」と言った論調には私は同意をしません)今は手術前の微小な転移の有無はわからないのですから、早期発見・早期治療に越したことは無いと思います。

または遺伝子治療のようにがんの根本を変えていくような治療を実施することが必要なのではないでしょうか。

食道がんの原因-バレット食道

長引く食道の病気が食道がんの素地を作ってしまう場合があります。

その病気の一つがバレット食道です。

バレット食道は食道粘膜の細胞が異常になってしまった病気です。通常の食道粘膜の扁平上皮細胞は平たい四角形をしています。これが食道炎を繰り返すうちに、酸から身を守るために円柱形に変化していき、やがて粘膜に、大きさや形の異なる細胞が入り乱れた状態になってしまうのです。バレット食道は腹部食道(胃の近く)に起こることが多く、腺がんの原因になりやすいと言われています。

では、バレット食道の原因はなんでしょうか。良く聞く、逆流性食道炎もその一つです。胃から胃酸が食道に逆流し、食道炎をおこす病気です。この病気で食道炎を繰り返すことによって上記バレット食道を引き起こすのです。

逆流性食道炎は、胃の入り口にある噴門の筋肉が緩んでくることによって発生します。筋肉の緩みは多くは加齢が原因となります。また、胃や食道の手術後にも発生しやすいものです。胸焼けや咳、のどの違和感など、症状としては軽いので市販の胃腸薬でやり過ごしてしまう場合もありますが、逆流性食道炎が疑われる方は医師の診察と定期的な検診を受けられることをおすすめします。

禁煙の肺がんリスク低減効果およびその他のメリット

巷間言われますように、喫煙による発がんリスクは高く、その中でも特に肺がんのリスクは非常に高くなります。逆に言えば、禁煙する事により、肺がんになるリスクを低減させることは大いに期待出来得ると言うことです。

しかしながら、禁煙してから肺がんのリスク低下が現れるまでに5年掛かり、禁煙後20年経過した時点でようやく非喫煙者と同等になるというデータがあります。

それをもとに出てきた意見と言うのが、「若い人は禁煙すれば肺がんリスクは下がり筋炎の効果を手にすることができるが、高齢になったら禁煙の効果を手にする前に寿命が尽きてしまうので、高齢(70代以降)になってからの禁煙はあまり意味がない」と言う論調です。

しかし禁煙による健康効果はがんに対してばかりではないのです。

米国肺協会は以下のように報告しています。

禁煙開始から20分で血圧は正常になり、8時間で血中の酸素濃度が正常になる。24時間で心筋梗塞のリスクが下がり始め、48時間で味覚や嗅覚が回復する。2週間から3か月かけて循環機能が改善され歩行が楽になります。1~9か月で咳や疲労感、息切れが改善する。

どうですか?短期間に効果が出ることも沢山あります。やはり禁煙すればしただけの効果が期待できそうですね。

肺がんの発症を防ぐためにも、肺がんを悪化させないためにも、肺機能の低下によって根治手術が不能になる状態を防ぐためにも、老後の生活をより快適に過ごせるようにするためにも、そして大切な家族のためにも、禁煙は何歳になってから初めても決して遅くはないのです。

肝がんの原因-ウィルス性肝炎

原発性の肝がんの原因はその90%が肝炎ウィルスであり、残りの10%がアルコール性やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)などと言われています。では、その肝炎ウィルスにはどのようなものがあるのでしょうか。

ウィルス性肝炎を引き起こす肝炎ウィルスには、A型、B型、C型、D型、E型、G型、TT型があります。それぞれひきこす肝炎の経過は異なっていて、ウィルスの症状も異なっています。また、肝炎ウィルス以外でも肝炎を引き起こすウィルスがあり、EBウィルス、サイトメガロウィルス、単純ヘルペスウィルスなどがそうです。

しかしながら、これらのうちで肝がんを引き起こすウィルスはB型肝炎ウィルスとC型肝炎ウィルスです。

B型肝炎ウィルスは母子感染、性行為感染、血液感染(輸血、血液製剤、入れ墨!など)で感染し、C型肝炎ウィルスは血液感染が主な感染経路です。

B型肝炎で問題となるのはB型慢性肝炎です。3歳より小さい時期に母子感染するとウィルスが肝臓に感染した状態(キャリア)となります。この方のうちの10%位が症状を引き起こしB型の慢性肝炎となります。この慢性肝炎が進行していくと肝硬変の状態となり、肝がんへと進行していきます。

C型肝炎の場合は急性肝炎から慢性肝炎に移行する割合は60~70%であり、さらにそこから肝硬変に進行するのは20%位です。そのC型肝硬変のうちの50%前後に肝がんが発症します。

日本ではC型肝炎ウィルスから肝がんになる方が多く、冒頭の90%の内訳は75%がC型、残り15%がB型と言われています。

一方で、肝炎ウィルスの治療はハーボニーなどの薬剤による抗ウィルス療法が近年目覚ましい発展を遂げています。以前に治療をしたけど効果がなかった方も、諦めずに再度病院の門を叩いてみてはいかがでしょうか。

肝がんの原因ーアルコール性肝障害

アルコール性肝障害とは、アルコールを多量に飲むことが原因で、肝臓に障害が起こることをいいます。

しかしながら、多量に飲酒しても、一時的に飲酒するだけではアルコール性肝障害にはなりません。長い期間にわたって多量かつ継続的に飲酒することによりアルコール性肝障害は発症します。では多量で長い期間とはどれくらいを言うのでしょうか。

アルコールの量を言うときには日本酒換算を良く使います。日本酒換算で1日に3合かつ飲酒歴5年以上の人を常習飲酒家といい、1日5合以上かつ飲酒歴10年以上の方を大酒家といいます。このあたりが基準になってきそうです。

アルコールを多飲するとやがて脂肪肝になり、次にアルコール性肝炎へと進行していきます。そこから更に飲酒を続ければアルコール性肝硬変へと進行していきます。

脂肪肝やアルコール性肝炎の状態であれば、禁酒をすることで治ることが多いのですが、アルコール性肝硬変まで進行してしまうと、腹水や黄疸と言った症状が出てきて命にかかわる状態となってしまいます。

症状は脂肪肝の状態ではほとんどありませんが、アルコール性肝炎では食欲不振、吐き気、体のだるさなどが出てくることがあります。さらに進行した肝硬変になると、肝臓は小さくなり、形も凸凹になり、前述のような状態になる場合もあります。そしてこの肝硬変の状態から肝がんが出てくることがあり、注意を要します。

割合だけから言えば肝がんの原因のうちアルコールが原因となるものは少ないとはいえ、アルコール性肝硬変からの肝がんの場合は、肝機能が悪化しすぎていて治療ができないことも多々あります。ストレス発散等にアルコールもたまにならいいですが、多量かつ持続的な飲酒は慎むべきでしょう。