膀胱がんの膀胱温存手術

筋層浸潤膀胱がんの標準治療は膀胱全摘除+尿路変更ですが、この手術は患者さんへの負担が大きく、また、膀胱機能がなくなることによる、術後の患者さんのQOLの低下が問題となります。

これらを解決するべく開発されたのが膀胱温存療法です。

通常この方法では経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)+化学療法+放射線療法で行なわれ、患者さんのQOLが維持される上に、膀胱全摘除と同じ程度の生命予後が報告されています。

適用となるのは、

  1. 筋層浸潤膀胱がん
  2. 浸潤がんの範囲が広範でないこと(がんの範囲が膀胱の1/4以下)
  3. 転移が無いこと

となります。

TUR-BTでがんを減量した後、低用量化学放射線療法を行ないます。そして仕上げの治療として、身体に優しい手術で膀胱部分切除と骨盤リンパ節郭清を行ないます。この仕上げの手術はCo2ガスを使用せず、下腹部に3~4cmの穴を一つ開けるだけで、最新の3D内視鏡と多機能ヘッドマウントディスプレイ(ロボサージャンシステム)を用いて行なわれます。日本発の技術であり、高い安全性と低侵襲性が特徴であり、保険適用となっています。