優先審査品目として審査されていた肺がんの第三世代分子標的薬AZD9291(TAGRISSO タグリッソ)オシメルチニブが2016年2月29日に国内で認可されました。
適応は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」です。
タグリッソはEGFR阻害薬による治療に耐性が生じた患者にみられる「EGFR T790M変異」という新たな遺伝子変異を標的にするものです。
イレッサやタルセバなどのEGFR-TKIが奏効しても、ほとんどの症例で薬剤に対する耐性ができ病状が進行してしまいますが、この耐性化した症例の過半数にT790M変異がみられると言われています。このT790M変異陽性の非小細胞肺がんに効果を発揮する薬剤として期待されているのが第3世代分子標的薬のタグリッソ(オシメルチニブ)です。
今まではT790M変異陽性肺がんに対する治療薬は市場になかったため、日本肺癌学会が15年7月に同剤の早期承認を厚労相に求めており、同年8月に申請し優先審査されていました。EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者数は約1万9,700人~3万5,300人と推測されています。
使用法は1日1回経口投与で用います。またT790M変異の遺伝子変異があるかどうかを検出するため、厚労省は、同剤の承認とほぼ同時期にコンパニオン診断薬も承認する方針です。