がんの食事療法「ゲルソン療法」について

ゲルソン療法とはドイツの医者であるマックス・ゲルソン氏の開発した食事療法です。ゲルソン氏はがんを腫瘍のみとして捉えるのではなく、身体全体の栄養代謝の乱れとして捉えました。我々の身体はエネルギー代謝や基礎代謝、新陳代謝など、さまざまな代謝の集積で機能しています。そしてがん細胞が生まれる原因は細胞レベルの代謝異常であると判断したのです。

ですから腫瘍にだけ目を向けるのではなく、身体全体の栄養代謝の乱れを正せばがんは治ると思ったのです。そのために食べ物とがんの関係に焦点をあてたのです。毎日の食事の中で、がん細胞が喜ぶような栄養素を可能な限り減らし、一方で免疫力を向上させるための要素を食事療法に組み入れたのです。

しかしながら大変に厳しい食事制限で、厳格に実行するには入院でもしなければ難しいような内容です。たとえば ①完全菜食(肉、魚はもちろん、乳製品、卵、大豆製品も禁止) ②しぼりたての野菜・果物ジュースを1時間おきに13回、計2リットル以上飲む ③厳格な無塩食 ④カリウムやヨードの補給 ⑤穀物は未精白の物しか使わない(全粒粉の小麦はOKでも玄米は禁止) ⑥コーヒーによる浣腸を1日4~5回行うこと です。

当然禁酒、禁煙ですし、砂糖やきのこ、キュウリも禁止です。

ただ、大豆製品や玄米の禁止などは少し首をかしげたくもなりますし、コーヒーの浣腸は最近色々な意味で話題になっていますしね~。

また、日本では児童精神医学者の星野先生という方がご自分のがん治療体験から「星野式ゲルソン療法」を確立しています。ゲルソン療法よりは少し「やり易い」感じですが、それでも実行するには大変に強い精神力と周囲のサポートが必要であると言っておられます。

一方でゲルソン療法を実行してから体内環境が改善されるまでには時間が必要ですし、制限された食事を「大量」に摂らなくてはなりません。そういう点では末期がの方や進行の早いがん、食欲のない状態の方には不向きな治療法であるかもしれません。