卵巣がんのIDS(腫瘍減量手術)

卵巣がんは自覚症状が出にくく、発見が遅れるケースの多いがんです。ステージのⅠかⅡで発見できれば5年生存率は非常に高いがんですが、ステージのⅢ以降になると5年生存率は50%を切ってきます。

しかしながらステージⅢ以降でも、手術と抗がん薬を組み合わせて治療していくことによって卵巣がんを取り除ける可能性もあります。そして、抗がん薬の治療を行っている途中に手術を組み合わせる場合の手術の事をIDS(腫瘍減量手術)と言います。

標準的な方法は、まず最初に手術をして腫瘍を取れるだけ取ります。その腫瘍を病理で診断し、広がりやサブタイプを見極めてから効果的な抗がん薬治療を行います。取りきれなかった腫瘍が小さくなったところで、また手術をしてがんを切除すると言うことが行われます。

また、化学療法からスタートして、効果が出てから手術を行うという方法論の検討も臨床試験を通じて進んでいます。

手術が1回であれ2回であれ、画像で見えるがんがなくなって、腫瘍マーカーが正常化すれば、初回の治療はそこで終わりです。抗がん薬を飲み続ける必要もなく、患者さんのQOLは大きく改善されます。

東大病院で行ったIDSではⅢc期以上の患者さんのうち60%の患者さんで完全切除ができ、その患者さんの5年生存率は60%以上に達しているそうです。

さらに現在は抗がん薬の投与方法も研究されています。更に、2013年11月には分子標的薬のアバスチンが卵巣がんに対して承認された事もあり、さらなる生存率の改善が期待できるのではないでしょうか。