前立腺がんの神経温存手術

前立腺の両側には、性機能を掌る神経が通っています。通常の手術ではこの神経を切断してしまうため、ほぼすべてのケースで性機能障害が生じるそうです。

しかし、がんが前立腺内にとどまっていて、本人の希望があれば、神経を温存する手術が検討されます。

性機能をコントロールしている神経は2本あり、どちらも前立腺に接するように走っています。神経温存手術では、前立腺を切除するときにこの神経を避けてメスを入れます。

がんの広がり方によって、2本の神経のうち、どちらも残せる場合と1本だけ残す場合とがあります。がんの広がりが前立腺の片側に偏っている場合は、反対側の神経だけを残すことが検討されます。当然ですが、性機能が温存される確率は神経を2本残す方が高くなります。

現状では、性機能の回復率はあまり高いとは言えません。(50%程度と言われています。)しかしながら、手術法の工夫が重ねられ、回復の確率も高まりつつあります。

神経切断後、くるぶしの外側にある腓腹神経を移植する方法もありますが、この場合の性機能の回復までに要する時間は1年以上と言われています。

どちらにしても、現状ではこれらの治療で、性機能が維持できるかは不確実です。

がんを取り除くことと併せて、よく考える事が重要ではないでしょうか。