肺がん検査の有効性の検証

1970年代の後半に、がんの臨床で有名なアメリカにあるメイヨークリニックを中心に、肺がん検査の効果を実証する実験がおこなわれました。45歳以上の男性喫煙者4500人を、胸部X線検査と喀痰細部検査をする群としない群に分け、その後の肺がんの死亡率を比較したのです。結果は死亡率に差が見られませんでした。そのことから、胸部X線検査や喀痰細胞検査では肺がんの死亡率低下には繋がらないとする説が広く蔓延し、メイヨークリニックでは肺がん検診を中止しました。

一方日本では、肺がん診断時より前の検診率を比較したところ、1年以内に検診を受けた場合は、28%の肺がん死亡率減少効果が認められたという報告があり、健診が無駄とも、非常に有効とも言えない状況でした。

しかし、その後腺がんが増えるなど肺がんの種類も変化し、また精度の高いCTによる検査方法が開発されて、小さながんも見つけられるようになりました。その結果検診の効果が認められるようになり、先述のメイヨークリニックも肺がんの検診を再開しています。

肺がんは特徴的な自覚症状がない病気で、症状が現れた時には進行している可能性が高い病気です。ですから早期発見、早期治療が重要になります。そのためにも胸部CT検査などの検査を受けることをお勧めします。