塩分と(胃)がんの深い関係

塩分の過剰摂取は高血圧を通じて脳卒中の大きな原因と考えられていますが、他にも胃がんと深い関わりがあり、さらにはがん全般の発症とも関わっているといわれています。

ではなぜ塩分の過剰摂取で、胃がんのリスクが増加するのでしょうか。

塩分は過剰にとると刺激によって胃壁が荒れやすくなります。まず、このこと自体ががんの発生を促すと考えられます。さらに荒れた胃壁にはピロリ菌が棲みつきやすく、活動や繁殖も活発になるそうです。そしてそのピロリ菌によって、さらに胃の粘膜が荒れるという悪循環が発生します。そこでは胃壁の荒れと修復が繰り返されます。一方で身体の組織はどこであれ、荒れて修復を繰り返すほど、がん化のリスクは高まっていきます。つまり、塩分とピロリ菌がタッグを組めば胃がんのリスクが高まるのは当然なのです。

さらに荒れた粘膜からは塩分そのものが細胞に浸透しやすくなり、それにより細胞のミネラルバランスが崩れることによっても、がん全般のリスクは高まると考えられています。

もともと我々の身体にはミネラルが溶け込み一定のバランスを保っています。そのことにより正常な代謝が行われるようになっているのです。その中でも特に重要なのが、ナトリウムとカリウムのバランスだといわれています。しかし塩分(ナトリウム)の過剰摂取が続くとこのバランスの乱れを招きやすくなります。このバランスが乱れると細胞の代謝の異常につながりやすく、ひいてはがんの発症の促進につながると考えられています。

このようなことから、塩分の取りすぎは脳卒中だけではなく、がんの大きな要因にもなっていると考えられるのです。ですので、がんの食事療法で有名な「ゲルソン療法」や「甲田療法」、そのほかの多くの「がんの食事療法」では塩分の制限を行うのです。塩分は人間の身体に必要なものではありますが、何事もほどほどが肝要なようですね。