卵巣がんの分子標的薬

日本においても年々罹患者が増加している卵巣がんですが、その標準治療は手術療法が基本となり、状況に応じて化学療法を加えます。

そして卵巣がんで使用できる薬剤は何種類もありますが、主流となっている化学療法はTC療法と言って、3週間ごとにパクリタキセル(タキソール)とカルボプラチン(パラプラチン)を投与していく方法です。最近までその中に分子標的薬は含まれておりませんでした。

しかし2013年11月にアバスチンが卵巣がんに対しても承認されました。アバスチンは、もともとは大腸がんの治療などで使われている分子標的薬です。アバスチンは卵巣がんでは、従来の抗がん薬にプラスして使用します。ですので化学療法への上乗せ効果が期待できます。

さらにアバスチンと抗がん薬による治療後に、維持療法として単独で使うと、再発するまでの期間を延長することが可能です。また、アバスチンは血管新生を抑える分子標的薬です。ですから、卵巣がんで問題となる腹膜播種(あるいは胸膜播種)に特に威力を発揮するのではないかと期待されています。

尚、アバスチンは、欧州では進行期の乳がん、大腸がん、非小細胞肺がん、腎がん、卵巣がん、米国では大腸がん、非小細胞肺がん、腎がん、再発膠芽腫の適応症で承認を受けています。また、アバスチンの卵巣がん(初回治療)に係る効能・効果は、EU28カ国を含む110の国または地域において承認されています(2013年8月7日現在)。

卵巣がんのIDS(腫瘍減量手術)

卵巣がんのサブタイプ