がん予防に繋がる生活習慣の改善

糖尿病とがんの背景には共通のリスク因子として、不適切な生活習慣が関与していることは、以前にも記載しました。だとすれば生活習慣を改善すれば、糖尿病にもがんにも効果があるはずです。つまり、糖尿病の予防や改善のために生活習慣の改善に取り組むことは、将来のがんリスクを減らすことになると考えられます。

ここで生活習慣とがんの関係について改めて確認しておきましょう。

1.身体活動の影響

運動を良くする人としない人を比べると、運動を良くする人はがんが1~2割減ることが分っています。そして、結腸がん、肝臓がん、すい臓がんといった、糖尿病の人で増えるようながんが半分近くに減ります。総死亡率も約3~4割減っています。運動する人はがんになりにくいし、長生きだと言う事がはっきりしています。

2.煙草の影響

たばこを吸っている人は、がん全体のリスクが1.6倍に増えます。そして食道がんや肺がんは煙草によって大きくリスクが増えるがんですし、脳卒中や虚血性心疾患のリスクも増えてきます。たばこは生活習慣の大きな問題です。

3.お酒の影響

お酒については一番リスクが少ないのは、全く飲まない人ではなく、時々飲む人だと言われています。しかし、大量飲酒者では、がん全体のリスクは煙草と同程度増加します。そして食道がんは特にお酒が関係したがんであり、脳卒中や総死亡のリスクも高めます。

4.体型の影響

肥満も糖尿病と同じ程度にがんのリスクになります。体型とがんのリスクを見ると、肥満の人はがんが増えてきますが、やせすぎの人もがんのリスクがあります。一番リスクが少なかったのが、BMIで23~25の範囲の方だと言われています。

以上のように、運動やたばこ、お酒や食事、肥満などの生活習慣はがんのリスクに直結しています。がんも生活習慣病だと言われる所以です。ですから、これらの生活習慣を改善するだけで、がんによる死亡を大きく減らすことが期待できるのです。