未分化がんとは何か?

がん細胞の悪性度を語るときに分化、未分化と言う言葉が使われます。しかし分化・未分化って何を意味しているのでしょうか。

皆さんもご存知だと思いますが、細胞は分裂しながら増殖していきます。何度も分裂しながら次第にその組織に特有の細胞に変わる、つまり分化していくのです。胃なら胃の細胞に、前立腺なら前立腺の細胞になるということを分化したと言うのです。

一方でその途中の段階の細胞、完全に分化していない細胞も存在します。それを「未分化」の細胞と呼んでいます。未分化の中には分化度が高い(分化細胞に近い)ものから低いものまで存在します。

そして細胞ががん化した段階が、分化した段階でがん化したものを「分化がん」、未分化の段階でがん化すると「未分化がん」と呼びます。

一般にがん細胞は無制限・無秩序に分裂・増殖を繰り返します。その点は分化がんも未分化がんも変わりません。ただ、未分化の細胞はどのように成熟するか決まってませんし、どこの場所に落ち着くものなのかもわかりません。言い換えれば、分化度が低いほど、どこへでも行くことができてしまう、つまり転移が生じやすいと言うことなのです。その上、分化度が低いほど、がんは分裂・増殖のスピードが早いのも特徴です。ですので一般に分化度が低いがんほど悪性度が高いと言われるのです。

しかしながら未分化がんは放射線や化学療法が効果を増す、という側面も持ちます。なぜならば、放射線や抗がん剤は細胞の分裂・増殖過程を阻害するものであるからです。前述したように未分化がんは分裂・増殖のスピードが早いのも特徴です。すなわち分裂・増殖が多くなるので、逆に治療による分裂・増殖を阻害するチャンスが増えるのです。悪性がんにも弱点はあるのです。