一昔前まではがんになったら治療が最優先で、治療後の妊娠はあきらめざるを得ませんでした。
女性のがんで、治療や年齢によって不妊になる恐れがあるのは、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、血液がんです。乳がんでは、抗がん剤治療や長期間のホルモン薬治療の影響で、治療後に閉経したり排卵がなくなるリスクもあります。
一方で、2015年1月に厚生労働省の研究班が若年者のがんや小児がんの患者向けサイト(http://www.j-sfp.org/)を開設するなど、近年はがんの治療法に加え、生殖医療技術も進歩しているので、患者が希望すれば、可能な限り将来の妊娠を支援する動きも広がってきているようです。
また、子宮、卵巣など妊娠に直接関わる臓器のがんでは、進行度によっては子宮や卵巣を全部取らなければならないですが、ごく早期ならこれらを残せる可能性もあります。
一方で、受精卵の凍結など妊娠の可能性を残す生殖医療には公的保険が効かず、高額なのが難点となりますし、乳がんや子宮がんは治療法によっては、妊娠の可能性を残すためにがんの治療が不十分になる覚悟を強いられることもあります。
ですので、治療後の妊娠を望む方は、リスクや費用などを十分に主治医と相談してから治療法を決められたらよろしいのではないでしょうか。
妊娠を希望する人が、がんの治療前に主治医に確認しておきたいこと
- 自分がかかったがんはどんな病気か、今の進行度で出産・子育ては可能な状態か?
- 自分の受ける治療法とそれが卵巣に及ぼす影響は?
- 現時点での卵巣の状態は?
- 現在の計画では何歳で治療が終わる?
- 妊娠の可能性を残すための選択肢とその費用は?
(出典:日経ヘルス&メディカル)