乳がんはBRCAと言われる遺伝子の変異も発症に関係していると見られています。
昭和大学医学部乳腺外科の中村清吾先生の発表によれば、乳がん患者のうち7~10%は、遺伝子変異が原因の遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)とされ、その多くはBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に変異があることが報告されています。BRCA1遺伝子変異を持つ患者では、生涯乳がん発症リスクが6~8割と非常に高いほか、乳がん再発リスクや卵巣がん発症リスクが高いことも知られています。
アメリカやイギリスではBRCA1遺伝子の異常が分かった場合、発症前に、がんになりやすい臓器(乳房、卵巣)を切除するという予防法も行なわれています。少し前の話になりますが、有名なハリウッド女優さんが乳房と卵巣の摘出手術を行い話題になりましたよね。
しかしながら、日本では予防的な臓器切除は一般的ではありません。
それに、例え遺伝子異常を持っていても全員ががんを発症するわけではありませんし、生活習慣の改善によりリスクを減らせる可能性もあります。例えば脂肪の摂取を減らせばがんになる確率は下がると言われています。
ですから、予防のために臓器の切除を行うと言う選択肢よりは、定期的ながん検診を受け、がんが発見されたら早期に治療するという選択肢の方が一般的な選択肢になるのではないでしょうか。
上記の女優さんも次のように言ってます。「選択肢は一つではありません。大切なことは選択肢について知り、その中から自分の個性にあったものを選択することです。」と。
この言葉は、乳がん予防に関してだけではなく、がん治療全般にも まさに当てはまる言葉だと思います。