昨今、雑誌などでオプジーボと言う薬剤が話題になっているようですので、少しオプジーボについてお伝えしようと思います。
オプジーボは広い意味での免疫療法になりますが、今までの免疫治療とは異なった発想の治療法です。今までの免疫療法は、ワクチンで免疫を活性化させたり、リンパ球などを培養して体内に戻すなどの方法がとられていました。
一方、オプジーボの作用機序は異なります。がんを攻撃するリンパ球の代表的なものの中にT細胞と言うものがありますが、オプジーボはこのT細胞ががん細胞に働きかける局面で作用をします。
どのような事かと言うと、T細胞にはPD-1という受容体があります。ところがこのPD-1ががん細胞のPD-L1と繋がるとT細胞の攻撃力が抑制されてしまうそうです。このような事態を防ぐためにPD-1と繋がり、PD-L1と繋がらないようにするための抗体が作られました。それがオプジーボです。
第Ⅰ相の臨床試験では、非小細胞肺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、腎細胞がん、大腸がんに効果があったと報告されていましたが、2014年の9月にメラノーマの治療薬として日本で国内承認されました。
抗PD-1抗体の場合は、どのような人に効果が出やすいのかが明らかになる可能性があります。その目印(バイオマーカー)が明らかになれば、より精度の高い治療につながる可能性もあります。
ただし、この薬剤にも副作用はあります。もっともよく発現する副作用は皮疹で、次が下痢で、点滴反応が現れることもあるようですが、マネージメントできる範囲だと言われています。
大変に期待ができる薬剤のようですが、現在のところではメラノーマに承認されただけです。更なる適応の拡大が待たれるところです。
(2016年8月の段階で、肺がんの一部と腎がんの一部(予定)が適応に加わっています)