食生活と大腸がん

従来、「大腸がん」は欧米で多いがんと言われていましたが、近年では日本でも急増しています。

国立がんセンターが予測する2015年日本のがん罹患者数では男女合わせると2014年の胃がんを抜き、大腸がんがトップとなっています。その人数は、予測では135,800人となっており、過去40年間で5~6倍の増加となっています。(性別毎では男性のトップは前立腺がん、女性のトップは乳がんです)

何故、大腸がんが急増しているのでしょうか?その一因は日本人の食生活が欧米化したことだと言われています。

実際に、アメリカへ移住した日本人の「大腸がん」発生率が白人並みに上がってしまったことや、菜食主義者や肉類や動物性脂肪の摂取量の少ない国や地域では、「大腸がん」の発生率は低い傾向にあることなども報告されています。(日本も過去はそうでした)

更に「大腸がん」のリスクは、保存・加工肉の摂取量の多い人達の方が高くなることも確認されていますが、これは動物性脂肪による細胞分裂促進作用や、動物性タンパクの加熱により生成される発がん性物質などによるものではないかと考えられています。また肥満やアルコールの摂取も、「大腸がん」の発生リスクを高めることが確認されています。

つまり、今や日本人に最も多くなってしまった「大腸がん」を予防するには、アルコールの摂取量を減らすとともに、保存・加工肉の摂取量を少なくし、更に肥満に注意することが重要となります。また十分な野菜の摂取、定期的な運動も大切なこととなります。

大腸がんは早期発見すれば怖いがんでは無いとは言われていますが、罹患しないに越したことは無いのではないでしょうか。

早期乳がんの再発予防の為のホルモン療法薬について

エストロゲン受容体陽性の非浸潤性乳管がんの、閉経後女性に対する再発予防を目的としたホルモン療法の比較試験が米国の複数の施設で実施され、その結果がASCO2015(2015年米国臨床腫瘍学会学術集会)で報告されました。

比較されたのはタモキシフェン(ノルバデックス、タスオミン)とアナストロゾール(アリミデックス)です。

タモキシフェンはエストロゲンとがん細胞が結合するのを阻害するのに対し、アナストロゾールはエストロゲンの生成を抑制すると言う作用機序の違いがあります。

比較試験では非浸潤性乳管がんで腫瘍摘出と放射線療法による治療を受け、がんの残存が確認されていない3,104人を対象に5年間に渡り、それぞれを投与しました。

10年後の結果をみると、両薬剤とも乳がんの再発抑制が見られましたが、再発を見られなかった患者の割合は、アナストロゾールで93.5%、タモキシフェンで89.2%、とのこと。

ASCO2015ではこの結果を踏まえ、標準治療として使われるタモキシフェンよりもアナストロゾールの方が当該ケースではすぐれていると報告されました。