腎細胞がんの新たな分子標的薬カボザンチニブ

血管内皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGFR-TKI スーテントやヴォトリエント等)の投与経験がある進行転移性腎細胞がんに対して、腫瘍の成長・転移をもたらせる腫瘍血管の成長と主要なシグナル経路を遮断する作用を有するCabozantinib(カボザンチニブ)は、エベロリムス(アフィニトール)よりも無増悪生存期間(PFS)を約2倍に延長することが非盲検第3相臨床試験であるMETEOR試験で明らかとなりました。

METEOR試験では、分子標的薬であるカボザンチニブ(コメトリク)が、前治療歴のある進行転移性腎臓がん患者に対する標準的な二次治療と考えられてきたエベロリムス(アフィニトール)と比較されました。この試験では、増悪または死亡のリスクが42%減少し、カボザンチニブは無増悪生存期間の中央値を3.8ヵ月から7.4ヵ月とほぼ倍増させました。

主な副作用は、下痢、疲労感、吐き気、食欲減退、手足症候群などですが、サポーティブケアや用量調整で対処可能な範囲内であったようで、重篤な有害事象の発生率に両群で差は無かった模様です。

カボザンチニブは2012年に甲状腺がんの特異的タイプに対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けていますが、残念なことに日本では未承認です。